第4章






今日は試験前とあって
授業は半日で部活も無く
アロハーは愛車ハーレーで自宅に帰宅しようと
校庭の駐車場に歩いて来た。

「ない! ない! ない!」





「俺のハーレーがな〜〜〜〜い!」










学園の裏庭の人目の付かない焼却場にアフロがバイクでやってきた。
そこにはしんへいがいつもいるという事を
アフロは聞いていた。

アフロ「しんさん、これいいだろ〜」
(例の件いらい二人は根っからの仲良しになっている)

アフロがしんへいに見せたそれはアロハーのハーレーだった。

しんへい「ハーレーじゃん! どうしたそれ?」

アフロ「アロハーのハーレー、ちょいと拝借してきたぜ!」

アフロは拝借したハーレーで今からドライブに行くと言い
「しんさん後ろに乗るか?」としんへいを誘った。

アフロは後ろにしんへいを乗っけると学園から抜け出し
ハーレーの乗り心地に酔いしれるかのように
遠くへ遠くへとライディングを楽しんだ。







気がついたらあたり一面田園で
向こうには見事な紅葉の山々が連なって見える。









アフロ「しんさん、ここどこだろ?」

しんへい「ん〜、分かんね〜な〜。かなり田舎まできちゃったみたいだな〜」









それにしても空気が綺麗で二人の気分も最高だった。


アフロ「お! あそこに高校があるじゃん! 寄ってみよう」

しんへい「おう! 適当な奴見つけてぶん殴って帰るか〜!」











アフロはその高校のグランド脇にハーレーを止め
グランドのどてにしんへいと座り込み様子を伺っていた。












おい!なんか臭うぞ!












しんへい「なんだ〜、ここって農業高校じゃないのか?」

そのグランドの脇には幾つもの肥溜めが掘られていた。










監督〜〜! 大変です〜! 落多君がまた肥溜めにおちちゃってます〜〜!










アフロ「おいおい! マジかよ。農業高校って恐ろしい所なんだな」

アフロとしんへいは自分達の学園とはあまりにも環境が異なるこの農業高校の様子に
興味心身で様子を観察していた。

彼らが見ているこの高校は
パワ・アンビシャスを読んでいる読者さんなら既にお気ずきかとも思いますが、



農業大縁高校である。



そのグラウンドのマウンドでピッチングをしている一人の選手にしんへいの目がいった。

しんへい「アフロ、あのピッチャーの球って結構速いんじゃないのか?」

アフロ「そうか〜? 対した事無いんじゃないか 俺の方が早い!」

しんへい「へ? お前野球やるのか?」

アフロ「あの球は見るところ時速145kmってとこかな〜。」









「俺なら時速180kmは軽い」









しんへい「うっそだろ〜 プロでも160出ないんだぞ」

アフロ「いや俺はこの前、首都高(都市高速)で180km出した。」



どうやら話が噛み合っていないようだ。









そんな二人の足元にグラインドから飛んできたボールが転がってきた。



「すいませ〜ん!そのボール投げてくれませんか?」



野球部の物がアフロ達にそう呼びかけた。

アフロがそのボールを手に取り大きく振りかぶったそのモーションは・・・










しんへいの目に未だにハッキリと焼きついている

あのアロハーのあの時のモーションそのものだった!











これだけ大胆に振りかぶると得られる反動は大きい。
がその反面、バランスを損ないコントロールが全く定まらなくなる。
しかし、アロハーもそうだったがアフロもまた同じように
全く微動だにしないそのモーションは、
ずば抜けたバランスとそれを支える強靭な下半身がなせる技である。


アフロの手からリリースされたその球はビシィ!という凄まじい音がした。
その音は彼のスナップ力の強さを物語っている。


アフロが投げた球はマウンドのピッチャー「真弓 猛」のグラブ目掛けて
一直線に突き刺さった。


グラウンドにいたチームの全員がその球に驚いたのは言うまでもないが
だれよりも一番驚いているのは横にいたしんへいであった。








「な、なんでお前が、あのアロハーと全く同じ球を投げる!」