19章





パワラン学園野球部4軍グランド


外野には10m程のフェンスが高々と張り巡らされいる。
その一角にセミが1匹とまっていた。












2月下旬にセミがいるのか?












良く見るとそれはセミではなくトンマだった。

トンマ「しんへい〜! いつでもいいで〜 かかって来い!」

グランドのバッターボックスにはしんへいがバットを持って構えている。
マウンドにはバッティングマシンが設置され
しんへいに向けて時速140kmの球が勢いよく飛び出す。


シュパ〜ン!


「これはどうだ〜!」しんへいがそう叫びながらバットを振り出す。

快音と共に外野フェンスめがけて痛烈な弾丸ライナーが飛び交う。

フェンスに張り付いているトンマが、トカゲのようにその打球に向かって
ガサガサと移動する。見ようによっては壁を這いずるゴキブリの様でもある。

トンマは素早く打球に追いつきグラブでそれをキャッチする。



しんへい「く〜〜! またしても取られてしもうた〜〜〜! 悔し〜〜〜〜!」



トンマのそのフェンスを這うプレイは実際の試合ではまず使えない。
単に面白がってしんへいと遊んでいるだけである。

この時、しんへいははなコーチの指導でホームランバッターとしての才能を既に開花させていた。












トンマ「へ! ざまあ〜みろ! お前の打球なんてチョロイもんさ!」

しんへい「か〜〜〜〜! てめぁ〜トンマ! 今度はどうじゃ〜〜!」

カキ〜ン!










そんな不真面目な練習をやっていたしんへいに
遠くから標準を合わせているスナイパーの影が・・・・


バシュ!


しんへいの足元に土煙が舞い上がった!








とっさの出来事だったがその弾丸を確認したしんへいは
打ってきた方向を確認した。


グランドのベンチの影にスナイパーは潜んでいた。



しんへい! 覚悟しな!

バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!



しんへいに無数の弾丸が放たれた

カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン!

持っていたバットでその弾丸を見事全弾弾き返した!










「ほ〜う なかなかやるな」
そう言ってベンチの影からアロハーが出てきた。










「親分! なぜわたしを狙撃する?」

「狙撃? 良く見てみろ」



しんへいの足元に転がっている弾丸は硬球だった。
そしてアロハーが引っ張りだしたそれは、


バルカン砲のようにバレルを無数に束ねた銃身を持つ
バッティングマシンだった。










スゲ〜〜〜〜!









ナインが一斉にそのマシンに集まってきた。


Reven「本場アメリカでもこんなすげ〜マシン無かったぞ〜!」

発射口が8個、円状に束になって付いているそれはアロハーが自作した
オリジナル・バッティングマシンで、その束になった発射口が
バルカン砲のように高速回転し次々とボールを連射する。
最大で24連射可能らしい。








アフロ「おお〜〜! スゲ〜! これバイクのエンジンじゃねぇ〜か!」

アロハー「そうさ、このマシンは4気等水冷の750ccエンジンで動くしろものさ」

アフロ「お〜〜! マフラーも付いてるじゃん!・・・って!













 これ俺のバイクのエンジンじゃねぇ〜かよ!!!