第18章〜甲子園編7〜





7回裏パワラン学園攻撃


実況「さぁ〜0対0で迎えた7回裏のパワラン学園の攻撃
先頭バッターは3番ZET君!」


真弓の魔球にこの回まで全く手が出なかったパワラン打線
しかしその真弓のピッチングに変化がでだしたのがこの回だった。



彼の魔球は浮き上がる変化球

アンダースロー投法をさらに変則なフォームに改造し、思いっきり伸ばした両腕の反動を使い
軸足の右足を軸として腰にかけて上半身をひねり、遠心力をフルに使って投げ出されるその球には
腰の回転で生じる回転と腕の振りから生じる回転の2つの回転が加わって
バッターの手元から浮き上がる変化を起こす、言わゆるジャイロボールの一種である。

しかしその変則フォームの腕に掛かる負担は大きい。



初回をたったの2球で3アウトをとり、
2回は3者三球三振で9球で片付けたアフロとは対照的に
強力打線を相手に慎重な攻めで応戦してきた真弓&石垣バッテリー

マウンド上の真弓は既に肩で息をしていた。











ハァ、ハァ、ハァ、」











打順は既に3順目に入っておりパワラン打線の各バッター達は2順目から
徹底したダウンスイングで真弓の魔球を捉らえ初めていた。


浮き上がってくる球筋に対し「線」でバットを合わせにいく
それにはダウンスイングが最も適していた。
普通ダウンスイングと言っても、ボールを捉える時点では殆どレベル(平行)状態で心持ちダウンで振りぬく。
バットはやはりボールに対し平行に合わせにいってこそ当たりやすい。
広角打者やアベレージヒッターなどは殆どレベルスイングなのがそれを証明している。


しかし今パワラン打線がやっているそれは手元で浮き上がってくる球を明らかに上から叩きにいく
まさにその名の通りのダウンスイングで、今打席に入ってるZETも
前の打席ではそれで真弓の魔球を捉えていた。


しかしそのスイングでは打球は内野グランドに弾かれる為、
農業大縁の鉄壁の内野守備にことごとくその打球を阻まれていた。












実況「ZET君打った〜〜!」 

痛烈な打球が1〜2間を走る!











その打球に敏感に反応したセカンド窪田がダイビングで打球に飛び込む

窪田は素早く立ち上がり1塁に送球!










アウト〜〜〜!











窪田のファインプレーに観衆が沸く。
窪田のユニホームは全身泥だらけで、彼がこの試合でどれだけこのような
ファインプレーで真弓を支えてきたかを物語っていた。


窪田「流石だな、2順目あたりから痛烈な打球ばかりだ〜 大越!この回も気合入れて守っていくぞ〜!」











おう!













内野守備の要、ショート大越も窪田以上に全身泥だらけだった。
いや彼らだけではないファースト嵐も、サード神野も
既に胸の高校名が確認出来ない程
彼らのユニフォームは甲子園の土の色に染まっていた。














このような真弓の魔球に対し徹底したダウンスイングで迎え撃つパワラン打線にあって、
一人だけアッパースイングで立ち向かうバッターがいた。



今バッターボックスに向かっている4番しんへいである。