第17章〜甲子園編6〜





実況「解説のやまさん、ここまでの両校の内容、如何でしょう?」


やま「そうですね、まず1回表のパワラン学園の前代未聞の先頭バッター敬遠から始まったこの試合ですが、
その作戦の意図する物が何だったのか、今のパワラン学園の裏の攻撃にその答えが出ていたように思えます。」



確かに、1回表の3者連続敬遠のあとのトリプルプレーで出鼻を叩かれた農業大縁、
その動揺の隙をついたパワランの足を使った攻撃。
結果としてはキャッチャー石垣の「冷静な護り」で得点こそ出来なかったが、
それでもエース真弓を初回から引っ張り出したという事実は
この試合のこれからの展開に於いて重要なポイントとなっていった。






アフロ、この回から全快だ!
はなの言葉を受けアフロが大観衆の待つ甲子園のマウンドに向かった。

アフロは自慢の剛速球で農業大縁のバッターを次から次えと三振で討ち取っていった。









3者連続三球三振!


その豪快なピッチングに再び観客は度肝を抜かれた。













「お〜いアフロ! ちょっと来て見ろ」


パワラン学園4軍グラウンドでしんへいを相手に投げ込みをやっていたアフロをアロハーが呼んだ。


「ストレートには2つの種類があるって知ってるか?」


「へ? そうなん?」


アロハーは、アフロにストレートでもボールの「握り」を変えるだけで球質とスピードが変わる事を教えた。
いわゆる「4シーム」と「2シーム」である。



一般にストレートと呼ばれているものは4シームで、日本でのストレートと言えばおお旨4シームであり、
4シームが伸びのある直球(ホップする球)なのに対し、2シームは沈んだりわずかに動いたりするので
直球とは言わずMFBの1つとして扱われるいわゆる「動く直球」である。
シームとは縫い目のことで、4シームならボールが1回転すると縫い目(横方向)は4回見え、
2シームはボールが1回転すると横方向の縫い目は2回見える。
そういった事から縫い目の見える数をとって名前が付けられている。
この2シームは、握りのわずかな違いや力の入れ具合で変化の仕方が変わるナチュラルなボールでもある。

また、4シームはホップ回転により球速が増す反面、「軽い球」となりあたると良く飛ぶ。
それに対し2シームは回転が少ない為、球速は多少落ちるがその分「重い球」となる。





「あとチェンジアップとカーブも覚えておくんだ」

そういった球を有効に使う事で更にピッチングでストレートが生きてくると言う事をアフロは学んだ。
















甲子園のスコアボードにどんどん三振の山が築かれていく


アフロの球は回を増すごとにスピードを増していき、
打席に立ったバッター達は、その全力投球に全力のスイングで立ち向かっていく。
まるでオールスター戦でも観ているかのような力と力のぶつかり合いが
観ている者たちの心を熱く躍らせた。


アフロは5回までに
去年、東北・ダルビッシュ投手が宮城県大会準決勝で記録した
11打席連続三振を上回る






12打席連続三振を記録していた。







対する農業大縁の真弓も
変則投法を駆使して7回まで0対0で踏ん張っている。



そして迎えた7回裏

パワラン学園の攻撃



打順は3番ZETからの好打順