第13章





「お〜い! しんへい〜! ちょっと来い!」アロハーが練習中のしんへいを呼び寄せた。
「親分なんどすか?」最近すっかり野球に溶け込んでいる彼は監督の事をいつもそう呼び
はなコーチの事を「兄貴」と呼んでいるが、ここは決して「組」ではない。




アロハーはしんへいに4軍チームのキャプテンをやるように告げた。


「わたくしめが、キ、キパテン、いやキャプテンですか?」


今までそう言った役とは全く無縁だった彼だけに、完璧、驚き顔で引きつっていた。
しばらく「キャプテン、キャプテン、この俺がキャプテン翼、キャプテン・ハーロック」と小声でブツブツつぶやいていたが
「するって〜と、俺、若頭(わかがしら)でやすか?」などと訳の分からない事を言い返してきた。
「若頭でも何でも良い、とにかく今日からお前がこのチームをまとめて、皆を引っ張っていってくれ」
アロハーのその言葉にしんへいは「オッス!」と力一杯返事した。


アロハー「で早速だが、キャプテンのしんへい君に早速お願いしたい事がある」


しんへい「へい」


アロハー「4軍には今、何人練習に参加している?」


しんへい「え〜と、俺とアフロとゆう、ヨウ、ガンクに〜とZETも最近出てきたし・・・6人でしょうか」


アロハー「野球は何人でするか知ってるか?」



しんへい「へ? 6人じゃないんっすか? いや〜6人でしょう! 6人いれば十分だって!












だってうちには6人しかいないじゃないですか!














アロハー「いや野球は9人でやるものだ
他にもメンバーは居るんだが、出てきていないだけなんだ〜」


アロハーはそう言うと他のメンバーの掘り起こしをしんへいに言い渡した。














〜4軍部室〜


しんへい「おいゆう、4軍には後だれだれがいるんだ?」


ゆう「RevenとBIGと・・・え〜と」


しんへい「ちょっと待て! ひょっとしてそいつら外人か?」


ゆう「いや純国産だけどさ〜、確かこの2人は今アメリカに輸出してて日本には居ないんじゃなかったっけ」


実はパワラン学園はアメリカに姉妹校があって、そこのハイスクールと親善を深める為に
毎年交換学生をお互いに出していた。
今年は野球部からも1軍にいたRevenとBIGが4月から
その姉妹校であるカリフォルニア・ハイ・スクールにホームスティで滞在していた。


しんへい「じゃあ無理じゃん、そいつらを練習に引っ張りだすのは。 
俺は悟空みたいに空を飛べんし、宇宙戦艦ヤマトのようにワープも出きんし、
ましてドラえもんのようにポケットからどこでもドア〜〜なんて出せないって」


ゆう「う〜ん、流石アニメお宅だな。例えが凄い」


しんへい「他には居ないのか? 身近な日本にさ〜」


ゆう「後3人いたな〜。トンマと紅葉とブルース・リーかな〜」


しんへい「よし! じゃあ早速その3人に合って練習に引っ張り出すかぁ!」









しんへいはまずトンマに目を付けた。


トンマは2年生で、1年の時は1軍でプレイをしていた。
野球部一小柄な彼だが、敏速で素早しっこく、猿のように木を登る。
だからと言って決してサル顔な訳ではない。


彼が何故4軍落ちしたかと言うと・・・・


1軍でトンマが野球に打ち込んでいた時、毎日熱心に練習を見に来る可愛い女の子がいた。
トンマはどうもその子に一目ぼれしたらしい!
しかし、その子のお目当てがサードを守っていたイヅナであると知った彼は、
失意のどん底に突き落とされた。
それ以来トンマは再起不能となり練習にも全く出てこなくなって、
今では4軍に籍だけ残っている。




ゆうからその話を聞いたしんへいは、そのトンマに1通のお手紙をしたためていた。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
始めましてトンマさん、
私はチビが大好きです。
ドラゴンボールZのご飯ちゃんやクリりんもチビだけどカッコイイし
ドカベンの里中ちゃんだってチビだけどカッコイイ。
ちびまる子も大好きで毎週日曜日は欠かさず見ています。
あ、ちなみにハナオくんは私の好みじゃりません。

そんな私は野球部一チビなトンマさんが
グラウンド狭しと駆け回る姿をいつも影で応援しています。
早く練習に出てきて下さい。

宮間夕菜似のしん子より
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







しんへい「よし、出来た! 後はこれをトンマの靴箱に入れておけば良しっと」














次の日から
元気一杯に4軍グラウンドを駆け回るトンマがいた・・・・